(仮)の部屋

自作小説を置いている場所です。

今までpixivで細々と投稿してましたが、ブログを作ってみました。

主に女子ボクシングや女子格闘技、ファンタジー系といった趣味のものを書いていきます。
pixivと連動してます。
今はpixivにのみ小説を置いてますが、徐々にこちらに移していきます。

小説のストックがなくなったので、しばらく休止します。

趣味のものですが、くれぐれも無断転載の無いようお願い致します。

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お仕事依頼も気軽にどうぞ。

挿絵やイメージレスポンスを頂ければ、飛び跳ねて喜びます。

第4話 刺客の実力

「感想は?」

「最高だね。言うことなし、今度の試合が楽しみで仕方ない」

美奈子に試合の感想を聞かれたアメリアは、嬉しさ満点の笑みを浮かべながら話す。

 

「いや、そういうことじゃなくて。攻略法は見つかった?」

「真正面からボコボコにするしかないね。」

「だ~~か~~ら〜〜、そのボコボコにする方法を聞いてるの!」

「ミナコはどうなの?」

「う〜〜ん・・・・・・。最初から足使う。でも、あいつ絶対くっ付いてくる。打ち合いに応じて、カウンター。ダメ、あいつと打ち合って勝てる自信ない。足使いながら、疲れるのを待つ? 私の方がスタミナ切れになっちゃう。う〜・・・・、どうすれば良いのよ・・・・・」

アメリアの問いかけに、美奈子は頭を抱えてしまう。動画で見た麻友は、以前と比べても数段腕を上げていた。麻友の性格やファイトスタイルからすると、地道にこつこつと相手を研究し、ファイトプランを練って、自分を鍛えてきたのだろう。言うのは簡単だが、それをやることは難しい。その辺が、麻友のファイターとしての才能と言える。

 

「ね?頭抱えるでしょ?」

頭を抱えてしまった美奈子を、アメリアは楽しげに見ている。けらけら笑いながら、美奈子の隣に腰を下ろす。

 

「ま、今回は考える時間もあるし、協力してくれる娘もいる。期待してるからね」

そういうと頭を抱えている美奈子の頭を自分に寄せ、ちゅっとおでこにキスをする。

 

「ちょっ!!私、そういう趣味ないから!!」

「え?なに?」

思わぬ美奈子の反応に戸惑うアメリア。

 

「ただのスキンシップだよ。ミナコ、私のこと嫌い?」

「嫌いじゃないけど、いきなりそういうことされるとビックリするじゃない」

「え〜〜、ステイツなら当たり前だよ」

アメリアは、唇を尖らせて、納得のいかないという表情を見せる。

 

「楽しそうだね・・・・・・・」

アメリアに輪をかけて、不満そうなのが彩華だ。

 

「何・・・・・羨ましいの?」

「羨ましいに決まってるよ」

(もしかして、彩華ってそっち系の人?)

彩華の反応に口には出さないが、警戒を強める美奈子。心なしか、彩華と距離を取ろうとする。

 

「美奈ちゃんがスパーして、麻友ちゃんが試合やるんだから、私がやらないっていうのは、友達としてどうかと思う。」

美奈子の想像とは違い、自分だけ蚊帳の外に置かれているのが、彩華には不満だったようだ。

 

「あ、なんだ。そっちか。ビックリした。」

「そっちって何?」

「いや、なんでもない。ってか、私はしたくてした訳じゃないし、こういうのって友達関係なくない?」

美奈子は呆れながら、不満そうな彩華に突っ込みを入れる。しかし、彩華は聞いてない。

 

「だから、今度スパーしよ!!」

彩華は、ぎゅっとアメリアの手を両手で覆うように握りしめて、頼む。それを聞いて、アメリアは、ぱあっと明るい表情になり。

 

OK!!もちろん!!」

「決まり!!やるからにはしっかりやりたいから、再来週で良い?」

「来月が良いな♪それまでにコンディション整えとく」

まるで遊びに行くかのように話をする2人。

 

「スパーって・・・・・、彩華のトレーナーとか、美由紀とか、シンシアの許可がいるんじゃ・・・・・」

美奈子は、盛り上がっている2人を見て、現実的なことを考える。いつもは、美奈子も暴走系だが、彩華と一緒にいるとどうも抑えに回ってしまう。

 

「それは、大丈夫!!今度の試合のために必要って説得する。」

「試合?」

「今度の試合の相手、麻友ちゃんに似たタイプなんだよね。麻友ちゃんに頼みそびれちゃったから、よか・・・・・」

「試合!?」

にこにしている彩華の話を、美奈子は大声を上げて、遮る。

 

「え、う、うん・・・・・」

美奈子の剣幕に、怯えた表情の彩華。

 

「いつ!?」

2か月くらい先・・・・」

「なんで!?」

「な、なんでって・・・・」

彩華は、突然いきり立っている美奈子に困惑している。アメリアは、見ているだけだ。触らぬ神に祟りなしと、関わらないことに決めたらしい。

 

「なんで私の試合はまだ決まってないのに、麻友とか彩華は決まってるのよ~~!!」

自分の試合が決まっていないのが、相当腹が立つらしい。

 

「だって、美奈ちゃんこの前試合したばかりだし・・・・」

「それは彩華だって、そうじゃない!! 私に負けたのに!!」

「それを言われると傷つく・・・・」

美奈子の言葉を聞いて、しょんぼりとする彩華。それを見て、美奈子も冷静さを取り戻す。

 

「あ、ご、ごめん。そんなつもりじゃ・・・・」

「良いよ。」

彩華は、謝る美奈子ににっこりと返す。

 

「相手ってどんな人なの?」

少し暗くなったムードを打ち消すように明るく聞くアメリア。アメリカ人だが、空気を読める娘のようだ。

 

「う~~ん、なんかタイの人って言ってた。名前が、ヌンティダー・プサック?ヌーナっていうのが愛称だって」

「ヌーナ・・・・・その娘、試合したことある」

「本当に!!」

「うん、タイに呼ばれて、試合して、勝った。インファイトで打ち合って、2ラウンドもたなかったかな。でも、楽しかったよ」

「そりゃ、勝ってりゃ楽しいでしょうよ」

 

思わずつぶやく美奈子、一方のアメリアは気にせずに。

 

「そういうことじゃなくて、強い相手だったら楽しめたってこと。」

「・・・・・・・ファイトジャンキーじゃないんだから」

呆れている美奈子に対して、アメリアはにやにやしながら

 

「ミナコは、戦うの楽しくないって言えるのかな?」

「美奈ちゃん、絶対楽しんでるよね。私とやった時も楽しそうだったし。」

「そ、そんなことないもん・・・・・」

アメリアと彩華にからかわれ、美奈子は顔を真っ赤にする。

 

「良かったら、これから私の部屋に来て、試合の動画見る?」

「良いの?」

「もちろん♪もっと話したいし、良かったら部屋で泊って行っても良いよ。」

「え~~~!!嬉しい!!じゃあ、遠慮なくそうさせてもらうね」

アメリアの提案に、彩華は有無を言わずに応じる。会って1日しか経って居ないが、すっかり仲良しだ。

 

「話がまとまったら、私は・・・・」

「もちろん、ミナコも一緒」

「はあ?」

「美奈ちゃん、一緒に来てくれないの?」

「だって、私、関係ないじゃない。

「それでも、楽しくお泊りしようっていうのに、帰るっていうのはどうかと思う。」

「そうそう、ミナコはそういう娘じゃないよ」

2人に上目遣いに見つめられてしまっている美奈子だが、特に断る理由はなく、2人の圧力に抵抗する術がない。

 

「分かった。一緒に行く。」

渋々応じる美奈子。手早くジムの戸締りをして、泊まるのに必要なものとお菓子やジュースといったガールズトークに必要なもの(?)を途中で買い込み、アメリアの泊まっている

 

アメリアが、動画をスタートさせる。リング中央に、アメリア、ともう1人女性が向き合ってる。少しだけ小麦色の肌をして、髪をポニーテールに結い、黒のスポーツブラとベルトラインだけ白だが、他の部分は黒いトランクス、そしてその下に黒のスパッツを履いている。

 

「そういえば、このタイ人の戦績は?」

「えっと・・・・・・」

彩華は、鞄を手元に寄せ、ごそごそと中を探し始める。そして、手帳を取り出す。

 

121117KOだって・・・・・・・」

「ってことは、アメリアに負けただけ?」

「・・・・・・かも」

そう言って、2人でアメリアを見つめる。どことなく得意げなアメリア。

 

画面上では、ゴングが鳴っている。テレビに視線を移す3人。ゴングと共に、アメリアに突っ込んでいくヌーナ。

 

「く・・・・・・つう・・・・・」

そのまま、アメリアに襲い掛かるヌーナ。アメリアはガードを固めるが、ガードの上から、右ストレート、左右フック、右アッパーと間髪入れずにパンチがアメリアに降り注ぐ。堅くガードを固めているが、じりじりと後退するアメリア。

 

 

「これ、きつかったのよね‥・・・」

思い出しながら、苦笑いをするアメリア。

 

「くう・・・・のっ!!・・・・・・うっ!!」

アメリアのガードが崩されそうになる中、このままじり貧になるのを避けようと、反撃に移ろうとする。しかし、アメリアの右ストレートに合わせて、ヌーナの右ストレートがアメリアに放たれる。寸前に首を動かし、クリーンヒットは避けたものの、右ストレートがアメリアの顔面にさく裂し、もんどりうって倒れる。

 

1・・・・・・・2・・・・・・」

追撃しようとしたヌーナだが、アメリアがダウンしたのを見て、笑みを浮かべ、自分のコーナーへと戻る。ダウンカウントが続けられる中、頭を押さえて、回復に専念するアメリア。カウント8で立ち上がる。

 

「ファイっ!!」

レフェリーが再開を宣言した刹那、このチャンスを逃すまいと、ヌーナが飛び込んでくる。序盤から、右ストレートでアメリアの顔面を再び跳ね上げると、そのままコーナーへと押し込んでいく。

 

「ふぐっ!!くう・・・・・・がっ!!」

ヌーナは、アメリアをコーナーに追い込み、アメリアに集中砲火を浴びせている。防戦一方のアメリア。ガードを固めながら、ヌーナの攻撃に合わせて、ジャブを返し、決定的なダメージを避けようとする。だが、ヌーナの手は休まらない。そうこうしているうちに・・・・・。

 

「カー―――ん!!」

1ラウンド終了のゴングが鳴った。ゴングが鳴ると、ヌーナは満面の笑みを浮かべ、観客にアピールをする。会場を埋める大観衆は一方的に攻めるヌーナに大歓声を上げている。

 

「本当に勝ったの?」

目の前で繰り広げられている試合を見ながら、美奈子は、眉を顰めて、アメリアに問いただす。アメリアはまたも首を竦め。

 

「勝ったってば」

「本当に?一方的にやられてるだけじゃん」

嘘くさいとばかりに眉を顰めている美奈子。アメリアの言うことをまだ信じていない。

 

「そうかな?」

彩華は、美奈子の言葉に疑問を投げかける。

 

「え?」

「う~~ん、動画だから良く分かんないけど、ダウンした割にはエミちゃん、ぴんぴんしてない?それにあれだけ、攻められてるのにダメージ、そんなにないんじゃ・・・・」

「そうかな?」

このラウンド、アメリアは一方的に攻められていたが、特にダメージを負っている様子はない。彩華は、その点を指摘する。一方の美奈子は、彩華の言うことを疑わしげに聞いている。

 

「カー―――ン!!」

2ラウンド開始のゴング。ゴングと同時に、ヌーナはアメリアに向かって飛び込んでくる。アメリアは、足を広げ、その場でヌーナを迎え撃つ構えだ。ヌーナは右ストレートから、左右のフック、そしてアッパーと左右に打ち分けながらアメリアに襲い掛かる。一方のアメリアは、これまでと異なり、ヌーナの攻撃を受けながらも、左右のフック、そしてアッパーを腹部に集中させ、反撃を加えていく。真っ向から打ち合いに応じている。

 

「がっ・・・・・う・・・・がふ・・・・」

30秒か、40秒ほど、お互いに打ち合っただろうか。徐々に、ヌーナの攻撃がかわされ、アメリアの攻撃の方がヌーナに当たり始める。ヌーナの顔面がアメリアの左右フックで、ぱんぱんと右へ左へと弾かれ、右に逃げようとすると、右フックが脇腹を叩き、元に戻される。リング中央だが、アメリアによって見えない糸につながれたかのように、その場で攻撃を受け続けるヌーナ。ヌーナにとっては地獄の時間だが、ヌーナもただ受け続けるだけではない、アメリアの攻撃が途切れた瞬間、起死回生の右フックを放つ。

 

「ふぐううう!!!!!!」

どすっという鈍い音が響き、ヌーナがリング中央で固まっている。ヌーナの放った右フックをアメリアはダッキングでかわし、右アッパーをヌーナの鳩尾にえぐりこむ。ヌーナはつま先立ちの状態になり、アメリアの拳に支えられている。数秒間、その状態が続いたが、アメリアが拳を引くと、膝からリングへと落ちる。そして、そのまま、顔をリングにつける。

 

「うああ・・・・あ・・・・・え・・・・・・うげえ・・・・・」

腹を抱え、尻を突き上げて悶絶しているヌーナ。マウスピースを吐き出すが、目をぎゅっと閉じ、涙をぽろぽろとこぼしながら、苦しさに耐えるので精いっぱいだ。口の端からは絶えず涎を零し、彼女の水溜りの大きさがどんどん大きくなっていく。水溜りは顔の方だけでなく、足の方にも生じている。黒のスパッツを湿らせながら、少し黄色がかった水溜りが彼女の足元に作られる。思わぬ展開に会場からは悲鳴が上がる。

 

「「・・・・・・・・・・・」」

目の前の光景に、言葉もないという様子の美奈子と彩華。対戦相手のヌーナは決して弱い相手ではない。パンチ力やテクニック、そしてスピードは美奈子、麻友、彩華の上を行っている。どれか一つなら、ヌーナよりも上だという自信はあるが、全部というのは難しい。その相手をねじ伏せたのが、目の前にいるアメリアだ。

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

「ふう・・・・・・・・」

2人は、アメリアを見るが、アメリアは肩を竦めるのみだ。

 

「美奈ちゃん、本当にエミちゃんにスパーリングで勝ったの?」

「・・・・・・たぶん」

彩華の問いかけに美奈子も思わず自信のない答えをする。今日起きた出来事だが、目の前の動画を見た後では、夢のように思えてくる。

 

「ミナコは、私にちゃんと勝った。1ラウンド目で2分もたないでKOされたって言われたよ。」

「ウソ・・・・・・・」

「ほんと・・・・・みたい」

信じられないという表情の彩華に、美奈子はまたも自信のない答えを返す。

 

「試合の感想は?」

にこにこしながら、尋ねてくるアメリア。画面上では、カウントが10になっても立ち上がれず、担架で運ばれているヌーナを写している。

 

「え・・・・・・と・・・・・・」

「アメリアって、意外とすごいんだね」

言葉の出てこない彩華。美奈子は、褒めているようだが、聞きようによれば失礼な一言を言う。

 

「“意外”と?」

アメリアの眉がピクっと上がる。

 

「え、ええと。そういう意味じゃなくて、ははは」

「・・・・・・・良く美奈ちゃん、勝てたよね」

じと目で睨んでくるアメリアに乾いた笑みを返すしかない美奈子。一方の彩華は、ぽつりとつぶやくのみ。アメリアは、大いに面目を施したようだ。

第4話です。

すっかり、かませのイメージのアメリアが実は強かったんだよ話です。
彩華の試合も決まりました。
こんな感じでどんどん話が伸びていきます(苦笑)

本当は、次の話で麻友とアメリアでしたが、スパーやら動画やらが入ってしまい、全然試合にたどり着きません。いや~~、キーボードをたたくと、次から次へとアイデアが思いついてしまうんですよ。このままでいくと、美奈子と麻友の直接対決はいつになることやら(汗)

対戦相手をタイ人にした理由ですが、なんとなくです。
最初はアメリカ人にしようかとも思ったんですが、それだとなんか面白くないというのと、この後で、とある(すごくしょうもない)伏線があるので、という理由です。こういうことになったので、アメリアは色々な国で試合をする旅人ファイターになりました。

キャラが勝手に動きすぎるというのも考えものですね。



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